不動産売却時の媒介契約の種類と特長について

媒介契約とは

不動産の査定が終わり、仲介での売却をするのであれば、不動産会社と媒介契約を結ばなければなりません。

不動産の売却は、不動産に関する法律や、買い手を探す手間などの問題から個人で売却するのは難しいため、不動産業者に仲介の依頼をすることが一般的となっています。
その際に、依頼を受けた物件に対しどのような売却活動を行うか、売却の成功報酬についてなどを明確にするための契約が「媒介契約」です。
媒介契約を結ぶことで、売主と不動産業者で同じ認識を持ち、不動産業務のトラブルを未然に防ぐことができます。

媒介契約の種類

媒介契約には「専属専任媒介」、「専任媒介」、「一般媒介」の3種類があり、それぞれに特徴があるので、どのように売却活動をおこなっていきたいかなどの売却方針を踏まえ、ご自身で選んでいただきます。

この3種類の違いは、以下の5点です。

• 複数社の不動産会社と同時に契約ができるか
• ご自身で見つけられた買主と契約ができるか
• 媒介契約の有効期限
• レインズ（不動産流通機構）への登録の義務
• 売却活動の状況報告の義務

レインズとは、ほぼ全ての不動産業者が加入している不動産業者専用のポータルサイトみたいなものです。

物件情報を登録すると、他社不動産業者に物件の情報が共有されるので、より多くの購入希望者へ情報が発信されます。

媒介契約の種類と特徴

	一般媒介	専任媒介	専属専任媒介
複数社と同時契約	〇 同時に何社とでも契約が出来ます。	× 同時に契約はできません。1社のみ。	× 同時に契約はできません。1社のみ。
自分で見つけた買主と直接契約	〇 ご自身で買い手を見つけることは可能です。	〇 ご自身で買い手を見つけることは可能です。	× ご自身で買い手を見つけても、不動産会社を介しての契約になります。
有効期間	法令上の制限なし	3ヵ月以内	3ヵ月以内
レインズへの登録	法令上登録の義務はない	媒介契約締結の日から7日以内	媒介契約締結の日から5日以内
状況の報告	法令上報告の義務はない	2週間に1回以上	1週間に1回以上

以上の5点を踏まえ、それぞれの特徴を紹介します。

一般媒介の特徴

一般媒介は媒介契約の中で、最も縛りの緩い契約となっています。

最大の特徴はなんと言っても複数の不動産会社との契約ができることです。
10社でも100社でも契約できますが、契約時や価格変更時の連絡が煩わしいので一般的には2～4社と契約されることが多いです。
売主自身で買い手を見つけることも可能です。

不動産会社側にはレインズへの登録義務や状況の報告もありませんが、特に労力がいる作業ではないので登録・報告する会社が多いのではないのでしょうか。

一般媒介のメリットとしては、やはり複数の不動産会社と契約ができ物件の情報が拡散されるので、購入希望者の目に留まりやすくなることです。
それから、囲い込みの心配をしなくて良い点もメリットと言えるでしょう。
囲い込みは、執拗に両手仲介を狙い他社に物件を紹介しないことが原因の1つです。
しかし、一般媒介の場合は、一緒に媒介契約を結んだ他社が先に成約してしまうと成功報酬が0になるので、どんどん紹介せざるを得なくなります。
そのため、結果的に囲い込みができなくなります。

一般媒介のデメリットは、複数社と媒介契約を結んだ際、契約時や価格変更時に一斉に連絡をしないといけないことです。
この連絡を怠ってしまうと、不動産会社ごとにバラバラな金額で広告されてしまったり、不動産売却後にもネット広告に掲載されていたりと大変なことになります。
実際、物件の引き渡しが済んだのに物件の案内があったなどの恐ろしいことも起こっています。

専任媒介と専属専任媒介の特徴

専任媒介と専属専任媒介は、一般媒介とは違い1社との媒介契約になります。

この似ている2つの媒介契約の違いは、売主自身で買い手を見つけることが可能か不可能か、レインズへの登録までの日数、状況の報告の頻度になります。
専属専任媒介のほうが、より厳しい媒介契約になっています。

専任媒介と専属専任媒介のメリットは、定期的に状況報告があるので、販売の状況がわかりやすいことです。

その他に、任された不動産屋が積極的に頑張る事・・・とよく言われていますが、不動産業界で働いてきた私にはピンときていませんでした。
一般媒介でも同じように頑張るけどな～と考えて生きていましたが、会社を設立し、しばらくしてこの意味がわかってきました。
1社のみとの媒介契約ということは、その不動産会社の査定や集客などの売却能力が問われるということです。
専属・専任媒介は、一般媒介よりもものすごくプレッシャーを感じる。ここに不動産屋頑張る説が集約されていると思っています。

デメリットは、1社だけとの媒介契約になるため、その不動産会社の売却能力が低いと結果に影響が大きく出ることです。
後は前述したとおり、囲い込みの心配があります。